前回、障害認定基準の第3第1章第8節で、精神の障害は次の6つに区分されているとお話しました。
■精神の障害の区分
1.統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
2.気分(感情)障害
3.症状性を含む器質性精神障害
4.てんかん
5.知的障害
6.発達障害
今回は、「5.知的障害」と「6.発達障害」の認定要領についてお話します。
■5.知的障害
知的障害は生来の障害であるために、障害年金の請求にあたっては“初診日の証明”は不要です。実際の初診日が20歳以後でも、すべて「出生日が初診日」となります。
また、障害年金請求にあたっては「20歳前障害」として扱われますから、「障害基礎年金(国民年金)の給付」になります。
知的障害については「知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する」とされています。
「この場合、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事しているものについては、その療養状況を考慮すると共に、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分に確認したうえで日常生活能力を判断すること」とされています。
そのため、診断書や病歴・就労状況等申立書などの提出書類に、仕事現場の実態をどれくらい記載できるか重要です。
参考までに、就労継続支援A型事業所では雇用契約による一般就労とされますが、同B型事業所は雇用契約の扱いとはなりません。
■6.発達障害
「発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものをいう」とされています。
その要領は次のようにされています。
・発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが出来ないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
・発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。
(知的障害の場合には、初診日が20歳以降であっても、すべて20歳前の初診日とされることと、大きく異なります、以前のブログにも書いていますので、参考にしてください)
知的障害と発達障害の「初診日」の違いについて | 京阪障害年金サポートデスク(田中社会保険労務士事務所) (keihan-shogai.com)
・知的障害と同様に発達障害も知能指数のみを注視するわけでなく、日常生活における様々な場面での援助の必要性を勘案したうえで総合的に判断するとされ、
「その日常生活能力の判定にあたり、身体的機能および精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するように努める。」とされています。
・就労支援施設や小規模作業所などに参加するものに限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮すると共に、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
以上から発達障害の障害年金請求にあたっては、就労との関係は等級認定に大きく影響を与えます。そのため、仕事の与えられ方や実態等について(医師の)診断書への反映や病歴・就労状況等申立書の書き方に工夫が重要になります。
発達障害については、以前のブログも参考にしてください。下にリンクを貼ります。
発達障害で障害年金を請求するときの重要なポイントについて | 京阪障害年金サポートデスク(田中社会保険労務士事務所) (keihan-shogai.com)
4回にわたり、精神疾病の方の障害年金請求についてお話しました。
最初にお話しましたように、近年、障害年金受給者の半分が精神疾病の方です。でも、他の障害と違って、検査値などの数値で測ることができないため、不支給となる方が多数いらっしゃいます。そのため、提出する書面の書き方を熟知していることが受給へ繋がると思います。
障害年金のプロである社労士に一度、ご相談されることをお勧めします。
初回無料相談をしていますので、お気軽にご連絡ください。お待ちしています。