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障害年金の対象となる病気 「精神の障害」~医師に診断書に何を記載してもらうか~

以前、下記のブログで、「精神の障害の認定基準、認定要領の難しさ」についてお話しました。

「精神の障害の認定」について | 京阪障害年金サポートデスク(田中社会保険労務士事務所) (keihan-shogai.com)

今回は、障害年金(特に精神の障害)において重要な「(医師の)診断書」について、更に詳しくお話します。

1.医師に診断書を依頼するためにすべきこと

診断書
医師に診断書を依頼する場合に、最も重要なポイントは、「日常生活能力について、医師に明確に伝えられていること」。そのためには、「日常生活の実態のなかで『出来ないこと』を医師に把握してもらい、それwp診断書に正しく反映してもらうこと」です。

あなたは、主治医に、
「日々の診察時に、自身の日常生活について医師に伝えられていますか?それを医師はきちんと理解してくれていますか?」
一度、ご自身はできているか?を顧みてください。

医師としっかり信頼関係があり、きちんと話ができている方は、少数派であると、多くの精神の障害年金請求に関わってきた私は感じています。

2.医師に「診断書」に何を記載してもらうのか

診断書全体
医師に診断書に、自身の状況を正確に書いてもらうためにあなたはどうすべきでしょうか?
まずは、障害年金の診断書についてお話し、その上で医師に何を伝えると診断書に反映してもらえるかを考えていきましょう。

精神の障害の中でも、知的障害・発達障害に焦点をあて、医師の診断書の様式を見ていきます。
精神の障害年金用の(医師の)診断書は、「精神の障害用 様式第120号の4」を用います。
上の画像のようにA3用紙に、「表面」と「裏面」 に分けて記入されます。

細かなところまで、見にくいと思いますのでPDFにしましたので、詳細は、ダウンロードしてみてください。こちらからどうぞ。

■精神の障害用 様式第120号の4

3.診断書の項目について

各項目について、詳細に説明していきましょう。

3-1.本人の基本情報や発病、初診日、治療歴①

診断書1から7
■①傷病の原因となった傷病名

この欄に記載の傷病名が障害年金請求における「原因傷病」となります。またカッコ内の【ICD-10コード】は重要です。このコードと原因傷病名は一致することが必要です。
なお、傷病名が神経症(ICD-10コード:F40~49)や人格障害・パーソナリティ障害(ICD-10コード:F60~69)となる場合は、障害年金の対象外となります。

具体的には
・強迫神経症
・不安障害
・PTSD
・人格障害、などの場合が挙げられます。
特に神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱うとされています。

■②傷病の発生年月日
この欄は、厳密に記入される必要はありません。障害年金請求で重視されるのは、下の欄の「初めて医師の診療を受けた日(初診日)」です。

■本人の発病時の職業
職業の概要が分かる程度に記載。(例)営業職など

■③ ①のため初めて医師の診療を受けた日
「初診日」の記入欄です。初診日は障害年金請求の受給要件でとても重要になります。何よりも正確であることが大切です。
また、診断書作成医療機関が初診の医療機関であれば、該当欄の左下にある「診断書作成医療機関における初診時所見欄の初診年月日と一致することになります。

■④既存障害
併合認定や初めて2級の請求を行う場合にその妥当性を検証するために記入します。

■⑤既往症
「障害の原因となった傷病名」欄の傷病名と因果関係のある病気を以前に罹患していたかどうかの確認となります。

■⑥「傷病が治ったかどうか」
障害認定日が1年6月以内の可能性があるか、又は3級程度の場合に障害手当金に該当するかどうか、が確認されます。
 該当しない場合には「日付」欄は無記入(空欄)とされる場合が多く、「症状の良くなる見込み」欄は実際には不明に〇がされる場合が多い。

■⑦発病から現在までの治療経過等
病歴・就労状況等申立書との矛盾が無ければ問題ありません。

■⑧診断書作成医療機関における初診時所見
この診断書を作成する医療機関を初めて受診した日と、その時の所見が書かれます。
※【初診年月日】は重要な項目なので、赤色で示されています。

3-2.本人の基本情報や発病、初診日、治療歴②

診断書7から9
■⑨これまでの発育・養育歴等
・ア 発育・養育歴 
・イ 教育歴
・ウ 職歴
知的障害、発達障害の場合における過去の経過等。
(医師が受診時に把握できていない場合が多いので、申請者からの情報提供が必要な場合が多い)
・エ 治療歴
此処に記載されたことが病歴・就労状況等申立書との整合性が必要となります。
そのためは、「事前に診断書作成してもらう主治医へ、申請者からの情報提供も望ましい。」ということです。

3-3.障害の状態

診断書10アイ
■⑩「障害の状態」
※【現症の年月日】はどの時点で評価を行ったかを示すものであり、非常に重要です。
ア 現在の病状又は状態像 (該当のローマ数字、英数字を〇で囲む)
Ⅰ抑うつ状態 ~ Ⅺ その他
  前回診断書(を作成している場合)との比較

イ 左記の状態(ア)について、その程度・症状・処方薬等を具体的に記載

ここから診断書の裏面に移ります。

3-4.日常生活状況

診断書10ウ全体
■家庭及び社会生活についての具体的な状況
(ア)現在の生活環境
(イ)全般的状況
同居者の有無は、日常援助する者が居るかどうかの確認となります。同居者が無の場合には障害の程度が軽くみられる可能性があります。要注意。

■日常生活能力の判定
「判断にあたっては、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断」と赤字であります。
この欄は、次に説明する3「日常生活能力の程度」とともに、最も重要な箇所となります。

医師と請求者本人との見解が分かれた場合もありますが、赤字の注意書きに在るように「判断にあたっては、単身で生活~」に注目してとなります。
多くの障害者の方は、家族等の援助者との同居の場合が多く、その庇護下で生活しています。その状況下では、生活上の困難さが明らかではありません。そのためにここでは、わざわざ「単身で生活するとしたら・・・」という見方を示しています。

この判定については次の7項目についてそれぞれ4段階での評価がなされます。
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬(要・不要)
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性

上記の判定の評価と障害等級との関連性については、等級判定ガイドライン(平成28年9月1日施行)で「目安を認識する」2要素のうちの1つであると明記されています。
ただし、このガイドライン対象の精神の障害からは「てんかん」の傷病は除かれます。

※「日常生活能力の判定平均」とは日常生活能力の判定を数値化して出した7項目の平均値となります。左端の「できる」を1として、右端の「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」を4として順に1・2・3・4と数値化し、7項目数値の合計を7で除して(割って)算出します。

3-5.日常生活能力の程度

診断書10ウ3
この欄の評価は、精神障害または知的障害に分けられ、5段階で行われます。
(1) (3級にも)非該当
(2) 3級または(3級にも)非該当
(3) 2級または3級
(4) 1級又は2級
(5) 1級又は2級
となっています。

3-6.「日常生活能力」と障害等級の関係性について

【表1】障害等級の目安
障害等級との関連について厚生労働省は、「障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合(平成23年)において日常生活能力の判定平均」と「日常生活能力の程度」の2つの評価と障害等級との関連性を提示しています。
障害等級の目安は、上のマトリックス表を利用して、診断書記載項目の「日常生活能力の判定平均」と「日常生活能力の程度」の2つの評価を用いて導き出されます。

「日常生活能力の判定」や「日常生活能力の程度」は、障害等級の決定に大きな影響を与えるために、その記載内容(判定や程度のチェック)は極めて重要です。

3-7.就労状況、予後

診断書10エから12
・エ 現症時の就労状況
・オ 身体所見
・カ 臨床所見
・キ 福祉サービスの利用状況


■⑪現症時の日常生活活動能力及び労働能力
この欄には、日常生活と労働能力の2つについて記入されていることが必要です。
特に障害厚生年金請求では3級該当の可能性もあるため、労働能力の有無だけでなくその程度の記入も必要です。

■⑫予後
精神障害は、予後においては判断できないことが多いため一般的には「不詳」「不明」と記される場合が多いと思われます。

4.まとめ

おわりに
障害年金用の診断書を書くのは医師であり、その医師にとって、障害年金用の診断書は一般的な診断書の作成よりも面倒で時間が掛かります。更に障害年金の診断書を作成した経験や知識があるかないかが問題となる場合も有ります。
それらの背景から請求者(患者)側も的確に記入してもらうための努力と手間がどうしても必要です。
このような個々に様々な事情に合わせての対策をとることは非常に重要だと考えます。まさに障害年金のなかでも精神系の傷病についての作業はお一人毎に合わせた手作りだとも感じる次第です。

幣事務所では、事前にご依頼者(請求者様)と打ち合わせして、日常生活の状況などの詳細に聴取します。その上で、診断書作成の主治医へその聴取した患者さんの情報の提供を行い、診断書作成に反映を求めるようにしています。
患者さんの現状を正しく反映された診断書を医師に書いてもらえるように、時には、医師と患者さんの間に立つことも障害年金のプロである社労士の仕事と考えています。

京阪障害年金サポートデスクは、初回無料相談をしています。ご連絡をお待ちしています。

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