先週は、「障害年金の併合認定」についてお話しました。今週は、「障害年金の額改定請求」についてお話します。
この制度は、「同一の障害状態が悪化」して、上位の等級に該当する程度相当なったので、等級を上げて欲しいという請求制度です。
有期認定で該当年金を受給している人の障害状態が悪化した場合は、次の更新時期を待たずに上位等級に改定の請求が出来ます。
つまり、定期的に提出する診断書で更新されるのを待つことなく、等級の見直し請求できます。
もちろん、永久認定を受けている方も「額改定請求」することができます。
等級変更による年金額の変更は、請求月の翌月分からとなります。またこの請求に必要となる診断書には、提出日から3か月以内の症状が書かれていることが必要です。
ただし、短期間のうちに障害の程度が変更して何度も請求を行うことが無いように、原則として「受給権を取得した日」または「障害の程度の審査を受けた日」から1年間の待機期間が設けられています。(例外がありますので、後述の2を参照してください)
1.額改定請求のパターンと時期
①新規受給の場合:
原則、受給権の取得日から1年後の翌日から請求可能
②更新時に額改定された場合:
診査日(改定日)から1年後の翌日から請求可能
③額改定請求により等級変更の場合:
額改定請求日の1年後の翌日から請求可能
④更新、額改定請求の時に等級が変わらなかった場合:
いつでも請求可能
⑤支給停止中の場合:
額改定請求ではなく「障害給付支給停止事由消滅届」を提出することで、いつでも請求が可能
⑥過去に同じ障害で2級以上に一度も該当していない障害厚生年金3級の受給者:
65歳の誕生日の前々日までは請求可能
2.(例外として)1年を待たずに額改定請求できるケース
厚生労働省令で定める障害の程度が増進したことが明らかである場合
具体的には、
・眼、聴覚、言語機能の障害:
両眼の視力の和が0.04以下のもの など(1~7項目)
・肢体の障害:
両上肢のすべての指を欠くものなど (8~14項目)
・内部障害:
心臓移植したもの、人口心臓装着したものなど (15~17項目)
・その他の障害:
人工肛門、人口呼吸器など(18~22項目)
障害の状態が悪化して、障害年金の額改定請求ができるかは、個々のケースごとに判断が難しいので、必ず、障害年金の専門家である社労士にご相談の上、請求に向けて準備を始めることをお勧めします
次回は、「更新時にある減額改定や支給停止について」についてお話します。