前回、医師に診断書を依頼する場合に、患者側の最も重要なポイントは、「患者自身の日常生活能力について、医師に明確に伝えられていること」です。そして、「患者の伝えたに日常生活の実態を医師にきちんと把握してもらい、診断書に正しく反映してもらうこと」とお話しました。
今回から3回に分けて、医師の診断書の内容について詳しくお話し、医師に何を伝えると診断書に反映してもらえるかを考えていきましょう。
精神の障害の中でも、知的障害・発達障害に焦点をあて、医師の診断書の様式を見ていきます。
精神の障害年金用の(医師の)診断書は、「精神の障害用 様式第120号の4」を用います。
下の画像のようにA3用紙に、「表面」と「裏面」 に分けて記入されます。
細かなところまで、見にくいと思いますのでPDFにしましたので、詳細は、ダウンロードしてみてください。こちらからどうぞ。
■精神の障害用 様式第120号の4(PDF)
では、各項目について、詳細に説明していきましょう。
■①傷病の原因となった傷病名
この欄に記載の傷病名が障害年金請求における「原因傷病」となります。またカッコ内の【ICD-10コード】は重要です。このコードと原因傷病名は一致することが必要です。
なお、傷病名が“神経症(ICD-10コード:F40~49)”や“人格障害・パーソナリティ障害(ICD-10コード:F60~69)”ではないことが必要です。
■②傷病の発生年月日
この欄は、厳密に記入される必要はありません。障害年金請求で重視されるのは、下の欄の「初めて医師の診療を受けた日(初診日)」です。
■本人の発病時の職業
職業の概要が分かる程度に記載。(例)営業職など
■③ ①のため初めて医師の診療を受けた日
「初診日」の記入欄です。初診日は障害年金請求の受給要件でとても重要になります。何よりも正確であることが大切です。
また、診断書作成医療機関が初診の医療機関であれば、該当欄の左下にある「診断書作成医療機関における初診時所見欄の初診年月日と一致することになります。
■④既存障害
併合認定や初めて2級の請求を行う場合にその妥当性を検証するために記入します。
■⑤既往症
「障害の原因となった傷病名」欄の傷病名と因果関係のある病気を以前に罹患していたかどうかの確認となります。
■⑥「傷病が治ったかどうか」
障害認定日が1年6月以内の可能性があるか、又は3級程度の場合に障害手当金に該当するかどうか、が確認されます。
該当しない場合には「日付」欄は無記入(空欄)とされる場合が多く、「症状の良くなる見込み」欄は実際には不明に〇がされる場合が多い。
■⑦発病から現在までの治療経過等
病歴・就労状況等申立書との矛盾が無ければ問題ありません。
■⑧診断書作成医療機関における初診時所見
この診断書を作成する医療機関を初めて受診した日と、その時の所見が書かれます。
※【初診年月日】は重要な項目なので、赤色で示されています。
■⑨これまでの発育・養育歴等
・ア 発育・養育歴
・イ 教育歴
・ウ 職歴
知的障害、発達障害の場合における過去の経過等。
(医師が受診時に把握できていない場合が多いので、患者からの情報提供が必要な場合が多い)
・エ 治療歴
此処に記載されたことが病歴・就労状況等申立書との整合性が必要となります。
そのためは、「事前に診断書作成してもらう主治医へ、患者からの情報提供も望ましい。」ということです。
今回は、本人の基本情報や発病、初診日、治療歴などの欄についてお話しました。
次回は、診断書の中で一番のポイントとなる日常生活の状況についての記載項目について、詳しくお話します。