前回、障害認定基準の第3第1章第8節で、精神の障害は次の6つに区分されているとお話しました。
■精神の障害の区分
1.統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
2.気分(感情)障害
3.症状性を含む器質性精神障害
4.てんかん
5.知的障害
6.発達障害
今回は、「3.症状性を含む器質性精神障害」と「4.てんかん」の認定要領についてお話します。
■3.症状性を含む器質性精神障害
これは中枢神経等の器質障害を原因として起こる精神障害が対象です。
いわゆる中枢神経等に器質障害(脳の病気、損傷や脳以外の身体疾患から脳機能が二次的に障害されて起こる精神障害)が発生すると、身体機能と精神機能の両面に障害が起こることがあります。
身体機能に障害が起これば「肢体の障害」になるため、この場合には、精神の障害と肢体の障害の双方の認定基準に照らし合わせてみる必要があります。
また、アルコール、薬物などの使用による障害についても、この要領が適用されます。ただし、禁止薬物の使用が原因となる障害の場合には、給付制限によって給付がされないことがあります。大麻や有機溶剤の吸引等が障害の原因となる場合には、この点を事前に確認する必要があります。 (国民年金法第69条、70条 および厚生年金法第73条、第73条の2参照)
■4.てんかん
てんかんは、発作の頻度と諸症状による日常生活の制限の両方を考慮して障害等級を認定されます。
発作の臨床症状は多彩となりますが、認定要領においては
A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作
の4タイプに分けられます。
具体的に
・1級 「AまたはBの発作」が月に1回以上
・2級 「AまたはBの発作」が年に2回以上、若しくは「CまたはDの発作」が月に1回以上
・3級 「AまたはBの発作」が年に2回未満、若しくは「CまたはDの発作が月に1回未満
このような発作の状態タイプというのは、医師には正確に伝えることも難しいことが多いと思われます。そのため、ご家族など付き添いの方が日々の発作の状況などを記録し、正確に医師に伝え、医師にきちんと認識してもらうことが大切になります。
また、てんかんについては認定要領において「抗てんかん薬の服用や、外科的治療により抑制される場合にあっては、原則として認定の対象にならない」とされていることに注意が必要です。
これは重度の発作を起こす患者さんであっても抗てんかん薬の服用で発作が抑えられている場合には、障害年金を請求しても認められないということを示しています。
このことからも発作の重症度や頻度だけでなく、「日常生活動作がどの程度損なわれ、そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという社会的活動能力の損減を重視して認定を行うとされます。他の障害と同様に、障害年金請求のために、診断書を作成される医師に、日常生活における状況を正確に伝えることが重要です。
次回は、「5.知的障害」と「6.発達障害」についてお話します。