前回は、精神の障害が他の障害に比べ、認定の客観性の難しさについてお話しました。今回から3回に分けて、下記の6つの精神の障害の認定要領についてお話します。
まず、障害認定基準の第3第1章第8節で、精神の障害は次の6つに区分されています。
■精神の障害の区分
1.統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
2.気分(感情)障害
3.症状性を含む器質性精神障害
4.てんかん
5.知的障害
6.発達障害
各々について、認定要領をお話しますが、今回は、1と2についてお話します。
この2つは精神の障害の中でも、最も該当者が多く、またよく知られた傷病区分です。
■1.統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
残遺状態または病状があることによる日常生活の制限の程度がポイントです。
残遺症状とは「急性期の症状は消滅あるいは軽減しているが未だ症状が有る状態」のことです。
診断書では統合失調症等残遺状態として 自閉、感情鈍麻、意欲の減退 などが例として示されています。
■2.気分(感情)障害
「持続したり頻繁に繰り返したりする気分、意欲、行動の障害及び思考障害の病相による障害」が例示されています。
症状が繰り返すことに着目して「現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過およびそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する」こととされていますので、長期間にわたっての障害状態の把握も重要です。
■さらに上記1と2については 次の2点について注意が必要です。
①「人格障害(パーソナリティ障害)は、原則として障害認定の対象にはならない」とされていますので、注意が必要です。もし、人格障害と診断された場合には、これ以外の傷病に該当していないかを探る必要があります。
② 「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱う」とされていますので、注意が必要です。
(このことは、神経症に対する「精神医学会の認識」とされています。)
次回は、「3.症状性を含む器質性精神障害」と「4.てんかん」についてお話します。