精神の傷病において診断書の書式において障害の原因となった傷病名と「ICD-10コード」が記載される欄があります。ICD-10コードは簡単にいうと世界保健機関(WHO)が公表している疾病の分類表です。インターネットからどなたでも検索ができます。
その中で、障害年金の診査において認定されにくい傷病が下にあげた3つです。
F4: 神経症性障害、ストレス関連障害及、身体表現性障害、不安障害、
強迫性障害、適応障害、解離性(転換性)障害 など
F5: 生理的障害及び身体要因に関連した行動症候群
F6: 成人のパーソナリティおよび行動の障害
この中で、特に「F4の神経症」と言われる傷病については、原則として障害年金の対象としないことされています。
※神経症とは、分かりやすく言えばストレスからくる「こころ(心)」の病気です。以前はノイローゼとも呼ばれ、最近では不安障害とも呼ばれます。職場などの環境にうまく適応できず、心身に様々な症状が現れることを示すとされます。
障害年金の認定基準となる国民年金・厚生年金認定基準には
「神経症にあっては、その症状が長期間持続、一見重篤なものであっても原則として認定の対象にはならない。但し、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱う」
とされています。
余計にわかりにくくなったかも知れませんが、もし神経症であっても、認定される場合もありますので、個別にご相談いただくのがよろしいかと思います。
以上のことから分かるのは、診断書の傷病名が「神経症」なのか、「精神病」なのか、この違いこそが障害年金請求が出来るのか否かの分かれ目といっていいでしょう。
例えば、原則として神経症の傷病(F4)だけで障害年金請求書を年金事務所で提出しようとすると、「神経症では請求できません」と言われ、受付すらしてもらえない可能性が大きいです。
但し、これはあくまでも原則なので、例外もあります。
「精神の診断書の記載に当たっての注意事項」の中で、「神経症圏の傷病名の場合、精神病態がみられる場合には、その診断書の裏面の備考欄にその病態のICD10コードを記入するように」と示されています。
このあたりの診断書への記載にあたっては当然ながら、主治医に確認して該当の場合に記載してもらうことが重要です。
つまり、神経症の場合にあっては最初の病院では適応障害の診断であったのが、転院して病名がうつ病、躁うつ病に変わることもあります。(医師が代われば、診断も変わること)
精神の傷病は、症状は固定するだけでなく、時間の経過とともに変わるのは自然なことだと言えます。例えば傷病名が強迫性障害では請求することすらできなかったのに、統合失調症に変わって、請求が出来たという場合もあります。
神経症圏の傷病とされた場合には、直ぐには障害年金は難しいというのは事実です。
しかし、主治医もしくは社労士にでもご相談いただき、望みを持っていただければと考えますので、一度ご相談ください。