「生活保護」制度とは
「最低生活の保障と自立の助長を図ることを目的として、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行う制度」です。詳細は、下記のHPを参考にしてください。
「生活保護」の受給中でも「障害年金」を申請し、受給することは可能です。
障害年金の支給が決定されると、形式的には同時受給も可能となります。ただし、障害年金の額だけ生活保護費が減額される仕組みとなっています。
■「現在受給中の生活保護費より、障害年金のほうが高くなる」場合
障害年金を申請するべきです。
ただし、障害年金の受給が開始されると、生活保護は終了されることになります。
■「現在受給中の生活保護費が障害年金より高くなる」場合
障害年金を受給しても、障害年金の額だけ生活保護費が減額されます。生活保護と障害年金の金額を合わせてみると、毎月の収入が増えることはありません。
しかし、それでも障害年金を申請することのメリットはあると思います。
そのメリットについて、詳しくお話します。
1.まずは、生活保護と障害年金の基本的な特徴や違いについてお話します。
①生活保護の特徴
・働けるようになって収入ができ、それが生活保護を受給できる収入の基準を上回ったときは終了となる。(世帯収入が法律で決められた最低生活費より低い場合に支給される)
・遺産相続などにより臨時の財産が入った場合、生活保護は終了され、資産を売却して生活費に充てることが必要とされる。
・親族等からの援助が可能であれば、まずはそれを利用することが必要とされる。
・収入については毎月報告が必要である。収入によっては、生活保護費が減額や終了となることがある。
・ケースワーカーの訪問調査が定期的にある
②障害年金の特徴
・資産があっても受給でき、働きながら障害年金を受給することも可能
・遺産相続などにより臨時の財産が入った場合でも受給可能
・親族等からの援助が可能であっても受給可能
・所得制限なし(二十歳前障害を除く)
・更新制度あり(多くの場合、2-3年ごとに診断書提出により審査される)
これらの特徴、違いからもわかるように、生活保護は、その方の収入状況によって支給停止(終了)になります。一方、障害年金は収入状況については関係なく、その方の障害の状況のみで審査されます。
2.次に生活保護受給中の方が、障害年金を申請するときのかかる費用の助成制度についてお話します。
下記の費用は、各市町村に申請することによって、市町村が負担してくれる場合があります。(各自治体により対応が異なるため確認が必要です)
・病院や医師に書類を書いてもらう「診断書の作成費用」
・社労士に依頼する場合の「申請代行費用」など、障害年金の申請にかかる費用
この制度の流れで簡単に説明しますと
①障害年金を申請して受給が認められると、請求日の翌月から受給決定月までの障害年金がいったん支給されます。(凡そ3か月程度の期間)
② ①の受給決年定月までは、同時に生活保護費の支給がされていますので、市町村に対して支給分の返還をもとめられます。
③この返還の際に、障害年金申請のために、医師の診断書費用や社労士への代行費用等は「返還額から控除」することができます。
このように、申請に必要な費用は実質的な負担がなくなる制度があります。
1.2のことから、生活保護受給中の方が、障害年金受給の可能性のある場合は、お住いの自治体に制度の利用が出来ることをご確認の上で、障害年金請求されることをお勧めします。