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「二十歳前障害」とその注意点について

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の方は、国民年金の被保険者(加入者)となります。(就労先の厚生年金に加入している場合は除きます)

ということは、20歳になる前に傷病を負った方は、国民年金に加入していません。このような場合の障害年金について、お話します。

桜

1. 二十歳前傷病、二十歳前障害とは

・二十歳前傷病(はたちまえしょうびょう)とは
「二十歳に達した日(二十歳の誕生日の前々日)より前」に病気やケガのために初めて病院を受診した傷病のことです。
例えば、誕生日が1月1日の方は二十歳に達する日は12月31日となります。
そのため、12月30日までに初めて診断を受けた傷病のことを「二十歳前傷病」といいます。

・二十歳前障害(はたちまえしょうがい)とは
「二十歳前傷病」が原因で支給される障害年金のことです。

2.二十歳前傷病における「初診日要件の免除」について

初診日
二十歳よりも前に就職、就労し、厚生年金に加入している場合を除き、国民年金の加入は二十歳からであるため、二十歳前傷病の場合は初診日までに保険料を納めることができません。つまり、二十歳前傷病は、初診日時点では年金制度に未加入になります。
障害年金は初診日に加入していた年金制度によって、障害年金の種類が変わりますが、二十歳前傷病の場合は「保険料納付要件が問われない」という特徴があります。
ただし、二十歳よりも前に厚生年金に加入し、その期間に初診日がある場合は、「二十歳前傷病」ではなく「障害厚生年金の請求」になるため、初診日の要件を問われます。
さらに、障害年金を受け取るためには、病気やケガで初めて受診した日(初診日)までに、一定の年金の保険料を納めている必要がある「保険料の納付要件」も問われます。

3.二十歳前障害の注意点

注意点
「二十歳前障害」の申請の手続き自体は、通常の障害年金の申請とそんなに大きな違いはありませんが、いくつかの注意点があります。

3-1.受給要件の免除

障害年金には保険料納付要件があり、初診日の前々月までに一定回数の保険料を支払っていないと受給要件を満たしません。しかし、二十歳前傷病の場合には保険料を納めていなくてもその他の要件を満たせば障害年金を受け取ることができます。

3-2.支給制限

制限
本来、障害年金の支給を受けるためには一定以上の保険料を納めている必要があるのに対し二十歳前傷病の障害基礎年金については、年金の加入を要件としていないことから、年金の支給に関して制限や調整があります。
つまり、保険料を全く納めていなくても受給できる代わりに、支給制限があります。

3-2-1.所得制限

所得制限表
障害年金の受給において、原則として所得制限はありません。なぜなら、障害年金の受給要件には主に病気やけがの状態が挙げられており、所得についての要件は定められていないからです。
しかし、二十歳前傷病による障害年金の受給については、所得制限が発生します。なぜなら、年金加入前(二十歳前)のため、保険料を支払っていないからです。

具体的には、上の画像(表)の内容です。
・扶養親族(同一生計の妻や子など)のない単身世帯では、所得額が370万4000円を超えると支給額が2分の1になり、472万1000円を超えれば支給が全額停止されます。
・扶養親族がいれば、更に1人につき制限額に38万円が加算されます。また、その扶養親族が老人控除対象配偶者または老人扶養親族であれば加算額が48万円に、特定扶養親族に該当すれば63万円になります。

3-2-2.その他の支給制限

次のいずれかの事項に該当するときも障害年金が支給停止になります。
・刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
・少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき
・日本国内に住所を有しないとき
・恩給法に基づく年金給付、労働者災害補償保険法の規定による年金給付等の給付にて政令で定めるものを受け取ることができるとき

4.まとめ

まとめ
二十歳前傷病の場合、障害年金の受給要件の免除と所得など支給制限があるという2つの特徴があります。
詳細については、専門家である社労士にご相談されることをお勧めします。

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