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「一人一年金の原則」とは

今回は、年金制度を考える、勉強する上で重要なキーワードである「一人一年金の原則」について、詳しくお話します。

公的年金では、支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるようになったときは、原則、いずれか1つの年金を選択することになります。これを「一人一年金の原則」といいます。

1.日本の年金制度とは

年金の図a
 日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金ともいいます)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金の2階建て構造になっています。
 基礎年金に、厚生年金(共済年金)が上乗せして支払われる制度であるため、同じ支給事由(老齢、障害、遺族)で受けとれる「老齢基礎年金と老齢厚生年金」、「障害基礎年金と障害厚生年金」、「遺族基礎年金と遺族厚生年金」などは、1つの年金とみなされ、あわせて受けることができます。(上の図参照)

2.「一人一年金の原則」の基本の考え方

年金の図bc2
「支給事由が異なる2つ以上の年金」はいずれか1つを選択し、受けることになります。
たとえば、
 今まで亡くなった配偶者の「遺族厚生年金」を受けていた方が、63歳になってご自身の特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときは、遺族給付と老齢給付をあわせて受けることはできませんので、いずれかを選択することになります。

また、同じ支給事由であっても2つ以上の基礎年金または2つ以上の厚生年金を受けられるときは、いずれか1つの年金を選択することになります。(「年金受給選択申出書」の提出が必要です。)
たとえば、
 今まで亡くなった夫の遺族厚生年金を受けていた妻が、子が亡くなったことにより新たに遺族厚生年金を受けられるようになったときは、夫、子の2つの厚生年金をあわせて受けることはできませんので、いずれかを選択することになります。(上の図参照)

3.「一人一年金の原則」の例外について

老齢年金の支給が始まる65歳以後は、特例的に支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられる場合があります。主な例外を挙げます。

3-1.老齢給付と遺族給付

年金の図de
①老齢基礎年金と遺族厚生年金
65歳以上で老齢基礎年金を受けている方が、遺族厚生年金を受けられるようになったときは、あわせて受けることができます。

②老齢厚生年金と遺族厚生年金
65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある方は、ご自身の老齢厚生年金が支給されることになり、遺族厚生年金は、老齢厚生年金より年金額が高い場合に、その差額を受けることができます。
遺族厚生年金より老齢厚生年金の年金額が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になります。

3-2.老齢給付と障害給付

年金の図f
障害基礎(厚生)年金を受けている方が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、65歳以後は、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
※障害基礎年金と老齢基礎年金の2つの基礎年金をあわせて受けることはできません。
※「年金受給選択申出書」の提出が必要です。

3-3.障害給付と遺族給付

年金の図g
障害基礎(厚生)年金を受けている方が、遺族厚生年金を受けられるようになったときは、65歳以後は、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
※「年金受給選択申出書」の提出が必要です。

4.まとめ

往々にして、原則には特例(例外)があります。「一人一年金の原則」も同じです。
ご自分の年金について詳しくお調べになるときは、一度は、年金のプロである年金事務所にご相談されることをお勧めします。

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